2017年東京都健康長寿医療センターがある興味深い研究結果を発表しました。それによると65歳以上の高齢者5000人を対象に15年以上にわたり1日に歩く数と病気の因果関係を調査したもの。その研究結果から、人間は歩くことによって認知症予防や骨粗しょう症予防、高血圧、うつ病など病気の予防に期待できることがわかったのです。
確かに歩く数が少ないと、どんどん足腰が衰え、筋肉も徐々に落ちて色んな病気が発症してきます。しかし毎日歩くのは辛いと第一に脳裏を横切るのはあなただけではありません。1日に何歩歩くかで、認知症予防や骨粗しょう症、高血圧、うつ病など病気の予防に期待できるのか具体的な歩数もわかったのです。80歳以上の主婦の方を対象に、1日に何歩歩いているのか調べてみると普通に生活するだけで約4000歩歩いています。この日常生活で歩くことに加え、少しでも多く歩くことによって予防できる病気がどんどん増えていくのです。そこで今回は1日何歩歩くかで認知症予防などの病気の予防が期待出来るのか、どのような歩き方がより効果的なのかをまとめてみました。
認知症予防には、1日に何歩歩くかで認知症予防が期待できる!?
群馬を県中之条町で高齢者5000人を対象に15年以上にわたり1日に歩く数と認知症予防の関係を調査したところ、5000歩以上歩いている人は歩かない人に比べ認知症の発症率は7分の1でした。
これにより1日5000歩歩くことで認知症予防が期待できます。
1日5000歩とは、日常生活4000歩+1000歩(約10分間のウォーキング)すればいいのだが、認知力テストをしてもらった結果、5000歩歩いていない人よりも歩いている人の方が実年齢が若かった。
なぜ5000歩以上歩く人は認知症予防に効果的!?
そもそも認知症になる原因の一つは、運動不足などによって血管が細くなり、全身の血流が悪くなってしまいます。すると脳に血液が十分に送られず脳細胞が損傷してしまいます。
しかし1日5000歩以上歩くことが出来れば常に全身の血流が良い状態といえます。それにより血管が広がり血液がスムーズに流れるようになり脳に十分な血液が送り届けられ認知症予防に効果的なのです。(※一部の認知症予防方法であり全ての認知症に当てはまるわけではありません)
そして、歩くスピードは「時速6㎞」の早歩きがおススメで、「坂本九/上を向いて歩こう」のリズムが丁度良いとされています。
認知症予防の効果は歩く場所によって大きく変わる
ウォーキングする(歩く)場所によって、認知症予防効果が大きく変わってきます。歩く場所と言えば、よく公園や緑道などどちらかと言うと静かな環境の中を歩く人が多いようですが、実は、認知症予防には「街中」を歩く方が良いとされています。
これは、街中を歩くことにより「信号がある」「新しい店がある」など様々な情報が目に入ってくるわけです。情報量が多い場所を歩くことによって「考える機会」が多くなるわけです。これにより脳細胞が活性化して認知症予防に効果的と言えるのです。
また、歩くコースを毎回変える事で「こっちの道には何があるのかな?」とか「どうやって家に帰ろう・・・」と考えて歩くことで更なる効果が期待できます。
骨粗しょう症には1日に何歩歩くかで予防が期待できる!?
1日7000歩歩くことで骨粗しょう症予防が期待できます。
こちらも歩いている人は歩かない人に比べ骨粗しょう症の発症率は6分の1でした。1日7000歩歩くには、日常生活4000歩+3000歩(約30分間のウォーキング)すればいいのですが1日7000歩歩く人と歩かない人を、骨密度測定器で測ってみました。
そもそも骨密度は100%を基準としそれよりも数字が高ければ骨は丈夫ということになります。数字が低ければ骨はもろいと診断されます。1日7000歩歩くことが出来ない人は、全員が骨密度100%以下の数字結果となってしまいました。一方で1日7000歩以上歩いている人の骨密度は、全員100%以上の結果を出していました。
なぜ7000歩以上歩く人は骨粗しょう症予防に効果的!?
骨は歩くことによって刺激が加わりどんどん丈夫になってきます。骨は毎日古くなった部分から壊れ、その壊れた所にカルシウム分がくっつくことで新しく生まれ変わっていくのです。5年間1日7000歩歩いている人の中には一人も骨粗しょう症を発症していませんでした。
歩く時間帯により予防効果が大きく変わる
ウォーキングする(歩く)時間帯によっても、骨粗しょう症の予防効果が大きく変わってきます。よく早朝に歩いている人が多いのですが、「夕方に歩く」方が効果的なのです。よく筋トレも夕方行った方がいいとも言われていますよね。
実は、骨の形成される時間は「夜の睡眠中」に行われ、骨の形成を促してくれる骨芽細胞は運動した後に活発に動く為、夕方に歩く方が効果的なのです。また歩き方も「大股で歩く」方が衝撃も強くなるためより効果的とされています。
高血圧は1日に何歩歩くかで予防が期待できる!?
1日8000歩歩くことで高血圧の予防が期待できます。
こちらも歩いている人は歩かない人に比べ高血圧の発症率は6分の1でした。1日8000歩歩くには、日常生活4000歩+4000歩(約40分間のウォーキング)すればいいのです。
なぜ8000歩以上歩く人は高血圧予防に効果的!?
そもそも高血圧とは、運動不足などによって血流が悪くなり、指先の毛細血管まで血液が届かなくなってしまうのです。そこに血液を送ろうとして心臓に負担がかかっている状態のことです。
しかし1日に8000歩以上歩くことによって全身の血流が良くなるので、血管の中でも特に血液が送られにくい末梢の毛細血管まで血液が流れ心臓の負担が抑えられ高血圧予防に効果的なのです。
タオルを首に巻いて歩くことでより効果的に!
首には体温を調整する役割があり、ウォーキング中や休憩時に汗や寒さで首が冷えた時、全身の血管が収縮してしまい血圧が上昇してしまう危険性があるからなのです。これにより首にタオルを巻いておくと急激に体温が下がらず高血圧予防に効果的と言われています。
うつ病は1日に何歩歩くかで予防が期待できる!?
1日4000歩歩くことで高血圧の予防が期待できます。
こちらも歩いている人は歩かない人に比べうつ病の発症率は3分の1でした。1日4000歩歩くとは、ただ日常生活で4000歩歩いているからと言ってうつ病の予防が出来るというわけではありません。大事なのは「外に出る事」なのです。
実は太陽光にあたる事で脳内の心のバランスを保つ「セロトニン」分泌されるためうつ病予防の効果があるのです。
歩く方法により予防効果が大きく変わる!?
歩くスピードですが、うつ病予防には早歩きで歩くことが重要で、体内の筋肉でBDNFが作られそれが脳に運ばれセロトニンの働きを助ける役目があるのです。
このBDNFは、筋肉に負担が掛かるほどたくさん分泌されるので、早歩きで歩くことがうつ病には効果的なのです。また筋トレも習慣として長く続ける事で有効的と言えるでしょう。(下北沢病院内科医・富田益臣先生推奨)
このように1日8000歩歩くことで、認知症予防をはじめとし病気の予防が期待出来るのですが、これ以上の歩く数を増やしても(10000歩など)病気の予防効果は変わりません。
また歩数計が無かったら、今はスマートフォンアプリで歩数を測ることが出来ます。iPhoneには元々ヘルスケアというアプリが入っており、普段と違う生活をしていても1日に歩く数がキチンと記録されています。
1日8000歩歩くことを先ず目標にして頂き、毎日継続していただければ幸いかと思います。