愛する人を亡くした方に、言葉を掛けて上げたい。愛する人が長い闘病生活であれ、急な病であれ、残された遺族はいくら時間が経過しても心の哀しみというのは癒えないものです。
近くに居ても、常にサポートし力付けてあげたい、誰しもが自然に想うことではないでしょうか。
しかし、周囲の人の気遣いから出たほんの励ましの言葉でも、受け取る側の人を傷つけてしまうことがあります。
今回は、愛する人を亡くした方に、特に望まれる言葉や身の振り方、考え方にフォーカスしてみました。
愛する人を亡くした心は、あなたには見えない
愛する人を亡くした遺族は、一見元気そうに振舞っていますが、それは表向きだけかもしれません。実は、一人家に帰るとガックリ心が折れている人もいます。表面上 私は大丈夫!と逆に気遣いすら感じてしまいます。
愛する人を亡くした遺族は特に、誰かに頼りたい、言葉をかけ楽しく話をして気を紛らわしたいと思っているかもしれません。
しかし、思考能力の低下で何事にも判断ができず、迷っている場合もあります。
そんな時こそ、そっとしてあげましょう。愛する人を亡くした心は、あなたには見えないからです。
愛する人を亡くした遺族に、使ってはいけない言葉
愛する人を亡くして悲しむ遺族に、言葉を発するのはとても難しいものです。
あなたが遺族に対し、元気づけようとしている一言でも、かえってそれが相手の心を傷付ける言葉となってしまいます。
次のことを参考にして気遣って上げて下さい。
励ましや気休めによく使われる言葉
- なんと申し上げて良いやら・・・
- お気持ちはよくわかります・・・
- 時間がたてばそのうち・・・
- 早く元気になって!
- 頑張って!
- 私まで辛くなるから泣かないで
- いつまでもクヨクヨ考えないで
- そんなに取り乱さないで・・・
比較や差別かのように使用する言葉
- 私の知り合いの人は・・・
- あなたはまだいい方・・・
- もっとつらい人がいる
- 子供さん大きいから・・・うちは~
- まだ若いんだから・・・
- 元気そうで安心した・・・
- 忘れるのも供養のうち・・・
- 何でも前向きに考えて・・・
自分の考えている方法を押し付ける言葉
- あの世でまた会える・・・
- 大往生したから・・・
- ~成仏する・・・
- ~はこうしなければならない!
- ここのしきたりは・・・
愛する人を亡くした遺族には、こう接して行こう
愛する人を亡くした遺族にとって、今はどうしてもらいたいかを相手の立場を意識して考えてみましょう。そうする事で自ずと見えてくるはずです。
愛する人を亡くして、思考回路が低下している状況で、周囲からのどのような言葉かけや働きかけが助けになったのか次のデータを参考にして下さい。
がん告知が一般的に普及した1970年ごろから発展してきた医療部門です。
がん患者とその家族の心のケアをモチーフにしたもので、今後のがん治療に役立てるものでもあります。
【周囲からのどのような言葉かけや働きかけが助けになったのか】(関わりの内容 %)
- 状況をよく知る人から看病に対する労いの言葉をかけられた 82
- あなたが悲しんでいる時に,気遣う電話をかけてくれた 81
- あなたが悲しんでいる時に,気遣う手紙やメールをくれた 79
- あなたが悲しんでいる時に,家を訪問してくれた 79
- 葬儀・納骨・法要の手配などを手伝ってくれた 75
【周囲からのどのような言葉かけや働きかけがつらかったのか】(関わりの内容 %)
- なぜ早く気がつかなかったのかたずねられた 38
- 生活の「よい面」を取り上げた言葉をかけられた 31
- あなただけがつらいのではないという意味の言葉をかけられた 28
- 無理して頑張っていたのに「元気になった」と言われた 27
- 金銭的なことについてたずねられた 27
番外項目
- 一緒に住んでいてわからなかったのか
- 健康診断は受けていたのか
引用元:埼玉医科大学国際医療センター 精神腫瘍科
このように、言葉かけや働きかけが助けになった評価が高い数字ですが、一方で評価の低い言葉かけや働きかけの存在は見逃せない部分かと感じます。
愛する人を亡くした方に言葉かけする場合どんな言葉…?
余計なことを言われたくないのが本音ですけどね。癌の苦しみも、介護の辛さも、見取る覚悟も本人でないと分からないんですから。ただ、あえて言うなら、何も言わなくてもそばにいてくれると心強いです。uminoneko1221さん
普通でいいと思います。お悔やみの言葉の定番でOKです。長年の歴史で生み出された言葉ですからね。。あと、人の死なんて「当事者しか分かりません」から、助けてあげたいなんて事は考えないで下さい。冷たいようですが「放置」が一番イイと思います。人の死を悲しんでいる人は「戻ってこない者へあきらめがついていない」のです。でも、「居ない者」へ「生きていて欲しかった!」などと言う執着心を持つことは、「永遠に解決しない事」でもあります。それに気づくまではそっとしておいてあげましょう。connect_rxzさん
どうしても言葉をというのであれば「今、言うべき言葉がわかりません。すみません。」なのではと思います。その上でお線香をあげてください。そっと寄り添う気持ちはとてもありがたいです。あなたが言葉をかけるより、相手がしたいことをさせてあげる雰囲気を伝える事が大事だと思います。友人であれば、そっと寄り添って線香をあげてくれ決して気持ちはわからないけれどという態度でいてくれて想い出話しを聞いてくれたり辛い気持ちを吐き出させてくれた友達がとても助けになりました。相手は闘病で疲れ切り、亡くなったショックで疲れ切り、将来の暗闇を恐れ、今の状態が理解できず、想像を絶する疲労困憊状態です。その闇に効く万能の言葉は無いと思っていたほうがよいです。lanlantonさん
と、ほとんどの人が「そっとしてあげたい・・・」という無言の言葉での対応のようです。
愛する人を亡くした遺族には、こう接して行こう
突然訃報を知った時に、おススメする対応の仕方を紹介してみます。
「全然知らなかった・・・急なことで信じられないけど、何か自分に出来ることがあったら遠慮なくいつでも連絡して下さい」と、できるだけ短か目に言葉かけをしましょう。
相手がすぐ返事できない精神状態にある場合、心に負担をかけないような気遣いが大事です。
「いつでも遠慮なく連絡できる人がいるんだよ!」と思いこませましょう。そうすれば相手も安心できます。
次に会う機会がある場合は・・・
「少し落ち着いたら、遊びに行くから時間空けておいて・・・」などと言葉かけすると、苦しみや悲しみから少しでも解放される空間を作ることができるのです。
中には、
「そっとしてあげよう・・・」「自分より、家族といた方がいいだろう・・・」と思い、顔出しすら躊躇する人が多いと思いますが、現実から逃避するには、誰かと一緒にいることです。それが本当に嫌ならはっきり断られるはずです。
愛する人を亡くした遺族が、より親密な関係の人と一緒にいたい・・・とは限りません。むしろ親・兄弟と一緒にいる方がより辛く、苦痛な場合もあります。
実際に会うことができた場合は・・・
できるだけ聞き役に徹することです。日頃のくだらない事でも趣味の事でも相手と共感出来るならばそれだけでいいのです。
そして、必ず一緒に食事を摂りましょう。その食事の具合から相手の心理状況を見出だすことが出来るからです。
愛する人を亡くした遺族との別れ際には・・・・
その日の感想や感謝の気持ちをお互い交換し合いましょう。
その上で、「また近いうちに会いましょう」と叶わぬ約束でも、相手の気持ちは今以上に落ち着きを取り戻せるはずです。
まとめ:現状からどういう言葉をかけたらベストか?
現状ではそっとしておくのがベストです。しかしその場限りだけではダメです。愛する人を亡くした遺族に心強い言葉かけをするならば、「気持ちが落ち着いたら、会おうよ!」と、次に会う時にこれをしよう!と約束するのです。
変に同情や励ましの言葉かけをするより、一番心の支えとなります。お付き合いの中でどうこれから生きてゆくか、仲良くしていくためにはどう言葉を掛けたらいいのかが大事になってきます。
上下関係ではなく横の関係が人間は生きていくために必要なことです。共に生きることを一緒にやりましょう。
あなたのそばには私がいる。
これが温かい言葉であり、文字に表せない 愛する人を亡くした心に響く言葉 になるのです。