平成31年4月に新元号「令和」が発表され、菅官房長官がメディアの前で表明した令和という漢字。
しかし、テレビを見ていて皆さんも「おやっ?」と違和感を覚えた方も多いのではないでしょうか。
新元号が発表された時の令和の「令」という漢字、本来書道では楷書体で書くのですが、今回の令和の令だけは明朝体なのです。
令和元年5月1日、令和の時代に突入してからお役所の書類等で何らかのトラブルが起きないのは、ゴールデンウイーク10連休という理由からでこれから話題になってくると思います。
そこで今回は、新元号に付けられた令和の「令」という漢字と、カタカナのマを使った「令」の漢字の違いについて紹介したいと思います。
令和の令の漢字とカタカナの「マ」を使った「令」の漢字の違い
新元号「令和」の「令」という漢字には大きく分けると2種類あります。
1つ目は、新元号が発表された時使われていた、下の部分が漢字の「刀」のような形になっている「令」という漢字。
もう一つが、下の部分がカタカナの「マ」になっている「令」という漢字です。
既にテレビのワイドショーではどちらを使っても良いというこうとで報道されていますが、ではなぜ2つの「令」という漢字が存在しているのでしょうか?
「令」の漢字とカタカナの「マ」を使った「令」の漢字の意外な理由
そもそもこの2つの「令」とカタカナの「マ」を使った「令」いう漢字はどちらが先にできたのか知っていますか。
一番先にできたのはカタカナの「マ」を使った楷書体である「令」の漢字。
もともと「令」という漢字は象形文字になっておりカタカナの「マ」を使った「令」の由来となった
令月のように「美しい」
という意味もあれば、
「命令」や「指令」
のように熟語にも使われているように「いいつける」という意味もあります。
実はこのカタカナの「マ」を使った「令」は、建物の下で言いつけを聞いている様子を表現した象形文字で、7世紀頃中国で書かれた書物にもあるように今の楷書体になったといわれています。
下の部分が刀の形のような「令」はどのようにして生まれてきた!?
カタカナの「マ」を使った「令」は7世紀ごろ漢字が出来ているのに対し、下の部分が刀の形のような「令」は16世紀頃中国に明という王朝があり、その時代に作られた漢字といわれています。
実はこの「令」の漢字は、当時木版印刷を始めた事がきっかけで、カタカナのマから刀のような形に変わったのです。
当時書物を印刷する際、平面の木に文字を彫り版画のように作成していました。
しかし楷書体であるカタカナの「マ」を使った「令」の漢字は、「マ」の部分が鋭角になっていて、とっても彫りにくく面倒くさい!
その上、マの最後の点を彫るのにも彫刻刀を木目に対し斜めに入れなければならず、真っすぐ彫った方がとっても楽だ!といった理由から印刷屋さんの都合で出来た漢字。
意外にも「令」とういう漢字の方が楽に作業が出来るという単純な意味から、明朝体というアレンジされた漢字ができてきたのです。
それが印刷物として広まり「明の王朝の時に作られた書体」という事で正式に明朝体と呼ばれ世に広まったといわれています。
「令」という漢字の他にも、木版印刷の影響で楷書体の漢字から変わったものが沢山あり、
心・近の辶の部分など、彫りやすい字体に改良され明朝体が増えてきました。
漢字が楷書体と明朝体の組み合わせはおかしくない!?
通常、習字の時は楷書体で書くのですが、明朝体で書くという事はまずありえない。
しかし、菅官房長官が正式に発表した時の「令」という漢字は、古来の文字ではなく明朝体で使われていた文字で、書道では書きにくいという疑問が残ります。
とても不思議に思いますがこれを書いた人物は、大東文化大学出身の書家「茂住修身」さんで、大東文化大学文学部準教授山口謡司先生の先輩に当るお方。
個人的な意見として、書家であれば誰しもが楷書体で書いて欲しかったと思うのではないでしょうか。
和は和む(なごむ)という意味なので、このような写真のような書体の方が柔らかくて良いような気もします。
ただ公式な発表だったら菅官房長官が掲げた漢字の方が良いのですが、家に飾るなら右側の楷書体の柔らかい感じの方がとてもマッチしてるような感じに見受けられます。
そのシーンに応じて「令和」や「カタカナの「マ」を使った令和」という2通りの漢字が出現してくるかも知れませんね。
令和の漢字はこれからが勝負時!?
同じ「令」という漢字でも、手書きの場合は下の部分を「マ」と書く楷書体が普通だが、役所等に提出する書類ではパソコン漢字のように「刀」と書くことを求められトラブルになることが予想されます。
また鈴木の鈴という漢字も過2015年に銀行等でトラブルが続出していたようですが、トラブルがない新しい令和に時代にしてもらいたいですね。
役所等で名前の「鈴」の右側の「令」を「刀」でなく「マ」と書いて訂正される問題