甘酒は「飲む点滴」と呼ばれるほど栄養価値の高い飲み物で、様々な健康効果が明らかになって女性誌のメディアでも数多く取り上げられています。特に甘酒は昔からの日本の伝統的な飲み物として、再開拓されてきたようなブームを引き起こしています。ここ数年の甘酒の売り上げでは、毎年うなぎ上りのように年間200億円を超えています。
そんな同じ甘酒でも「米麹から作られた甘酒」と「酒粕から作られた甘酒」の2種類があり、米麹・酒粕、それぞれ栄養成分や健康効果に大きな差があるのです。この2つとも日本酒の製造工程の中でできる物を原料としているが、その製造工程に微妙な差が出てきます。その差が健康効果の差に繋がっているのです。
そこで今回はそんな甘酒の製造工程で2つに分けられた米麹と酒粕に含まれる栄養によって期待される健康効果に適した飲み分け方法を解説したいと思います。
日本酒の製造工程から甘酒の米麹・酒粕のできるポイント
甘酒は元々日本酒を作る工程で出来る原料ですが、先ず
- 蒸したお米に麹菌をつけ、麹菌にカビが生えたようになります。これが米麹と呼ばれるものです。
- この米麹にお湯を加え一晩おくと米麹甘酒の出来上がりです。(原料は、米麹とお湯だけなのでアルコールは入っていません。)
- 先程の米麹にアルコールの素になる清酒酵母を入れ、蒸した米と水を加えアルコールを発行させてもろみを作ります。
- その後もろみを機械でしぼると日本酒が完成します。
- このもろみをしぼって日本酒を作る時にしぼり粕として酒粕が残ります。
- この酒粕をお湯に溶かし砂糖を加えると酒粕の甘酒になるのです。
これによって、米麹の甘酒と酒粕の甘酒の違いは、
- 砂糖&アルコールの入っていないのが「米麹の甘酒」
- 砂糖&アルコールの入っているのが 「酒粕の甘酒」
以上の工程を踏まえたうえで甘酒に期待できる4つの健康効果について、どっちの甘酒を飲んだ方がより健康的なのかを調べてみました。
疲労回復に、より効果的な甘酒は「米麹の甘酒」
甘酒は江戸時代から夏バテ予防など、疲労回復の栄養ドリンクとして冷たく冷やして飲まれていました。この疲労回復のポイントは甘味の成分の違いにあり酒粕の甘酒には砂糖が加わっています。
しかし米麹の甘酒は麹菌がお米に含まれるデンプンを分解する事で生じるブドウ糖が甘味の成分となります。
このブドウ糖は即効性に優れ、体調不調の時にブドウ糖の点滴をすることにより血液中にブドウ糖が増えすぐ脳で使われ、疲労は瞬間的に回復されるわけです。
よって飲む点滴と言われるのは実は米麹の甘酒だけなのです。体がだるかったりした場合は、米麹の甘酒を飲んだ方が効果的です。
ダイエットに、より効果的な甘酒は「酒粕の甘酒」
甘酒の酒粕には「レジスタントプロテイン」と呼ばれるたんぱく質の1種が含まれており、元々お米の中に入っているものです。
このレジスタントプロテインは、腸の中の油と一緒に排泄される働きがあり、油が吸収されないので太らない効果があるのです。平たく言うと油の排泄能力が高いという事なのです。
砂糖は入っているものの、ブドウ糖より少ない量で甘くすることが出来ているので、カロリーは酒粕の甘酒の方が抑えられている結果となっています。
よってダイエットには、酒粕の甘酒を飲んだ方が効果的です。
睡眠改善に、より効果的な甘酒は「酒粕の甘酒」
朝早く起きて仕事をしている人にとって是非知ってほしい睡眠改善効果ですが、実は甘酒を夜寝る1時間前にコップ1杯200cc飲むと寝つきが良くなります。
米麹でアルコール発酵させるときに清酒酵母を使っていましたが、最近の研究で眠気を誘う脳の物質で「アデノシン」が今注目されています。この物質が脳の中で濃度が高まって来ると非常に眠気を誘い良い睡眠に入れるわけです。
睡眠改善には、酒粕の甘酒を飲んだ方が効果的です。
肌荒れ対策に、より効果的な甘酒は「米麹の甘酒」
米麹の中には皮膚の美容に良い成分「エルゴチオネイン」が入っており、ビタミンCよりも強い抗酸化作用があります。これにより肌の老化を抑制する効果があると言われています。
また「エルゴチオネイン」は紫外線に対しても強くなり、紫外線対策にもつながります。
皮膚が紫外線を受けても炎症を起こしづらくなって「飲む日焼け止め」と言っても過言ではありません。
肌荒れ対策・紫外線対策には、米麹の甘酒を飲んだ方が効果的です。
このように甘酒の原料の酒粕・米麹の飲み分け方により、健康効果がかなり変わってきます。あなたの体に適した飲み方で、今年の夏も夏バテ防止にお役立てください。
甘酒は昔からの日本の伝統的な飲み物です。これからも第二次ブームを引き起こし手軽に飲める飲料水として新商品も期待したいところですね。少しでもお役に立てれば幸いです。