TVでもお馴染みの狂言師の和泉元彌さんの「和泉」、そして女優の泉ピン子さんの「泉」。同じ「いずみ」という呼び方なのに、何故名字が「和泉」「泉」で2通りの苗字があるのでしょうか。
日本人ではこの2つの名字を何げなく使用したり呼び合ったりしていますが、皆さんはこの名字の「和泉」「泉」に疑問を持ったことありませんか。
同級生の中でも「泉」の名字を使用した男子や「和泉」の名字を使用した女子がいたのですが何げなく素通りしてきました。
この疑問に今回は「和泉」と「泉」の名字の由来や意味について分かりやすく解説させていただきますので是非参考にしてみて下さい。
和泉元彌の和泉は「泉」ではなく何故「和泉」!?
和泉元彌の和泉は漢字1文字の「泉」ではなく2文字の和が付く「和泉」なのでしょうか。
和泉元彌の「和泉」が付いた意味は、7代目の家元が江戸時代の頃、朝廷から芸を評価され「和泉守(いずみのかみ)」という肩書(役職)を頂いたという由来がありました。
現在の大阪府和泉市の周辺を「和泉国」と言った事に起原が有るらしいのですが、その国の名前「和泉」にこの名字が繋がっているようなのです。
でも大阪府和泉市になぜ和が付いて「和泉」になっているのでしょうか。
漢字1文字の「泉」と漢字2文字の「和泉」の違いは、それぞれの名字が生まれた歴史を見ていくとその意味がわかります。
「泉」を名乗り始めたのはどのような人!?
先に生まれた「いずみ」は、漢字1文字の「泉さん」です。
ではどのような人がこの「泉」を名乗り始めたのでしょうか。
実は奈良時代、現在の大阪府・南西部にあった「泉国」に住んでいた人たちです。
しかしその後、大きな出来事から「泉さん」は漢字2文字の和が付く「和泉」に名前を変更したのです。
「泉」から「和泉」など2文字に名字を変える大きな出来事とは!?
奈良時代の713年、日本中を揺るがすある一大事が起きました。
実は、第43代元明天皇より国名を2文字に統一する「二字佳名の詔(にじかめいのみことのり)」という法律が出されました。
なぜこの法律を制定したかと言うと、当時天皇が国作りのお手本にしていた中国の土地の名前が「長安」や「洛陽」など国名が2文字だったのでそれに倣ったという意味からなのです。
この「二字佳名の詔」には
-
国名を2文字に統一する
-
縁起の良い字を1文字使用する
という掟から、泉という国がいつまでも平和が続くという事を願って「和泉(いずみ)」に国名が変更されました。
このことから奈良時代の関西地方に有った「泉」の国、現在の兵庫県にあった「津」の国、現在の奈良県にあった 「倭(やまと)」という国、現在の和歌山県にあった「木」という国が、
それぞれに
- 「泉」
「和泉」
- 「津」
「摂津」
- 「倭」
「大和」
- 「木」
「紀伊」
という2文字という国に変えたのです。
その後、「泉」に住んでいた漢字1文字の「泉さん」を名乗る人たちも、漢字2文字の「和泉」に変更しこの名字が誕生したという由来や意味なのです。
「泉」という漢字1文字の泉さんがいる意味とは!?
ではなぜ、未だに漢字1文字の「泉さん」がいるのでしょうか。
それは「泉」という国に住んでいた人とは全く関係なく、全国の「泉の湧く所に住んでいた人たち」が1文字の「泉」を名乗ったので未だに「泉さん」がいるのです。
このことから漢字1文字の「泉さん」は各国の泉の近くに住む人が名乗った名前で、漢字2文字のつく「和泉さん」は泉国に住む人が名乗っていたという由来でした。