あってはいけない事ですが帰宅してみたら大切な家族がリビングや玄関、お風呂などで倒れているという自宅死亡。そればかりか朝なかなか起きてこないなと思い、起こしにいったら既に死亡していたという事も少なくありません。
本来は警察に連絡するのが正式なのですが、自宅死亡など見つけた家族は気が動転し、とっさに救急車を呼んでしまいます。この様に既に自宅死亡していた場合「家族」が救急車を呼ぶとどうなると思いますか?
今回はとっさに救急車を呼んだにも関わらず、大切な家族は既に息もなく「自宅死亡」の通告を!その後警察が来て大変なことに・・・。こんな時、慌てないためにはどうしたらいいのでしょうか。
救急車を呼ぶ前に自宅で確認しておくこと
家族が倒れていたりしていた場合は先ず息をしているかどうかを確認しましょう。常識的に息があれば救急車を呼びますが、ほとんどの場合「冷静に対応できず」息をしているかどうかを確認もせずに救急車を呼んでしまいます。
救急車を呼ぶ時は「脈があるか」「呼吸しているか」電話で質問されますので落ち着いて答えておく必要があります。しかし、救急車を呼んだ時には大切な家族に息があったはずなのに、救急車が自宅に到着してみたら死亡していたという場合もあります。その時は、残念ながら救急車はすぐ帰ってしまいます。
救急車が帰ったら自宅死亡で直ぐ警察が来る仕組みとは
救急車が到着しても息が無く「自宅死亡」が確認されると、ご遺体は病院には搬送されませんので救急車は帰ってしまいます。実はここからが大事な部分なのですが自宅死亡の場合、救急車の方から警察に連絡が行きます。
すると、死因を特定するために自宅に警察が直ぐ来て、ここからは警察の管轄となります。もちろん赤色灯やサイレンは鳴らしません。警察が到着すると、自宅に居た人も、また外出していた家族を含め全員が一人ずつ事情聴取をされるのです。
これは、病死、自然死、はたまた殺人など事件性があるかどうかを判断するため。「誰かが殺したのではないか?」とか、警察はしつこいほど繰り返し質問してきます。時には自宅死亡と分かっていても、家族の誰かが殺人犯扱いされる場合も少なくありません。
質問内容は、「家族関係」「不仲説の有無」「喧嘩」「最近のトラブルの有無」「財産」「遺産相続人」など、ありとあらゆる事を聞いてきます。
刑事ドラマなどで見る警察の事情聴取とは比較にならないくらいしんどいのです。自宅での事情聴取されている間、検死医が死因を特定し事件性がないかどうか判断します。
もし自宅死亡が事件性も無く、自然死や病気が原因で死亡したと判断されれば警察も帰っていきます。その後、「死体検案書」を自宅に来た検死医が作成しますので、指定された病院にその死体検案書を取りに行く流れとなり、葬儀社を呼ぶことができるのです。
しかし、大切な家族が万一「転んだ拍子に頭部や胸部をぶつけて死亡」した場合は、その経緯は亡くなった人しか知りません。仮に「死因は転倒による頭部損傷」という死亡が大筋分かっていても、「玄関先で倒れていた」という状況だけでは事件性が無いことを確認できません。
そのような場合は死因を特定できていませんので、警察は更に細かく調査するため大学病院など施設にご遺体を搬送し「検死」という形を取ります。その間、亡くなっているのにご遺体不在ということで、家族は「数時間~丸1日」ご遺体が戻るまで何もできません。
- 親 戚に連絡 ➡ ご遺体が無い
- 菩提寺に連絡 ➡ 死亡日時が分からない
- 葬儀社に連絡 ➡「死体検案書(通常:死亡診断書)」が無い
という事で、弔問・諸手続き・葬儀の打合せなど全く進展しません。
何もせず、ただひたすら警察からの連絡を待ち続ける事となります。
自宅死亡で警察のお世話にならない方法
自宅死亡から救急車を呼び、警察が来ても死因が特定できない場合は物凄い時間と労力、そして哀しみの中遺体が戻らない場合は可なりの精神的負担が掛かります。
こんなに面倒で難しい自宅死亡。警察の事情聴取を受けないで済ませる方法はたった1つだけ。大切な家族が亡くなっていたとしても、絶対に救急車を呼ばないことです。ではどうすればいいのでしょうか。
それは、もしかかりつけの病院が有れば「救急車を呼ぶ」のではなく「病院の主治医」を呼ぶことです。生前に診察や治療をしていた病気に関連する死因である場合は「死亡診断書」を書いて貰えます。
そうすることで自宅死亡であって明らかに事件性が無いのであれば、無論警察は来ませんので不愉快で大変な事情聴取を受けることはありません。
万一そのような警察にお世話にならないためにも、往診してくれる医師を探しておき死亡時に直ぐ往診を引き受けてくれる医師であれば「死亡診断書」を書いて貰えるはずです。
死亡診断書を書いて貰えるかどうか事前に確かめておく必要があります。慌てず主治医に連絡をしましょう。
自宅死亡時、絶対にやってはいけないこと
自宅で倒れていた!息が無い!・・・など、目の前で身近な人が倒れていれば気が動転してしまうのは普通です。息が有れば救急車が到着するまで蘇生処置を施しますが、もし息が無かった場合「絶対にやってはいけない」ことが有ります。
それは
- ご遺体を動かさないこと
- 移動しないこと
- 着替えをさせないこと
- 化粧をしないこと(女性)
です。
家族の立場からすると「そのままでは可哀想だ・・・」という気持ちから、自宅死亡の場合ほとんどの家族はこれらの事を遣ってしまいがちです。
警察が到着する前に、遺体を動かす・着替え・化粧させたりしてしまうと、「証拠隠滅を図る」という扱いで、事情聴取の内容も精神的負担が過大になってしまいます。
家族はもちろんのこと自宅死亡で葬儀社が来ても、ご遺体に触れることができるのは「死体検案書が発行された後」となるので、大切な家族だからこそそっとしておくことが大事です。
大切な家族が息も無く自宅死亡、とっさに救急車を呼んでしまったら大変だ!という事がよく理解できたかと思います。
これは哀しみの家族と常に向き合い、長年葬儀業界で仕事した人しか解説できない事です。いざという時慌てないように、
かかりつけの病院がない場合は、警察へ連絡
ご遺体は絶対に動かさない
この2つだけでも知識として覚えて頂ければ、混乱も最小限度で済むことになります。少しでも皆さんのお役に立てれば幸いです。