紅茶が入っている缶は、紅茶の本場イギリスでも日本と同じく四角いお茶缶で販売されています。
もちろんロシアでもフランスでも四角いお茶缶なのですが、
なぜ日本茶のお茶缶だけは丸い缶で販売されているのでしょうか?
紅茶の缶は四角で、日本茶のお茶缶はなぜ丸い筒状の缶なのか、その理由をまとめてみました。
紅茶の缶が四角い理由は
そもそも紅茶の四角いお茶缶は、19世紀頃イギリスで開発されたと言われています。
日本でも1890年頃開発されたお馴染みの「リプトン」の紅茶ですが、実は四角いお茶缶が開発される以前から紅茶の茶葉を「四角い紙の箱」に入れて販売していました。
では、なぜ紅茶の箱を四角にして販売していたのでしょうか。
その理由は、紅茶を運搬する際に一度により多くの茶葉を運ぶためであり、当初は四角い木箱に紅茶の四角い紙箱を隙間なく詰め込まれて運搬していました。
一方日本茶のお茶缶はというと、丸いお茶缶も体積的に紅茶の四角い紙箱と同じ数を一つの木箱に詰めることができるのですが、どうしても箱と箱の間に余分な隙間ができてしまいます。
そのため1つの四角い木箱に入る茶葉の総量が少なくなってしまうのです。
なので、日本茶と紅茶を比較すると紅茶の方がより多くの茶葉を一度に運ぶことができ、そんな理由から、缶が開発された当時から必然的に四角い形のお茶缶になったと言われています。
であるならば、日本茶のお茶缶も紅茶と同じ様に四角い形にして多くの茶葉を運搬できてよかったのではないでしょうか。
なぜ日本茶のお茶缶は四角い缶ではなく丸い缶?
なぜ日本茶のお茶缶は四角い缶ではなく丸い缶を作って販売しているのかというと、それは日本の気候が関係してくるからです。
皆さんもご承知の様に、日本は海に囲まれ湿度が高いためにお茶は湿気ってしまうと美味しくなくなってしまいます。
その湿度の関係から、紅茶の様な四角いお茶缶よりも日本茶の丸いお茶缶の方が茶葉がより湿気にくいということがわかっています。
実は、四角いお茶缶よりも丸いお茶缶の方が潰れにくく、湿気が入らないという利点があるからなのです。
これを証明するために、同じ素材で同じ大きさの丸いお茶缶と四角いお茶缶を用意し、同じ重さの鉄球を上から落とす実験を行いました。
すると、四角いお茶缶は落ちて来た鉄球の重さで潰れ、蓋が閉まらない程変形してしまいました。
一方の丸いお茶缶の方は、多少の変形はあっても蓋を閉めることができるのです。
この四角いお茶缶の方が変形しやすい理由は、四角いお茶缶の平面部分に力が加わると100%の力が加わります。
しかし丸いお茶缶の場合、押された一点以外は力が分散され100%の力は加わりにくくまた変形しづらいのです。
つまり、紅茶の様に四角いお茶缶を運搬中「荷崩れが起きた場合」などは、横からの力が加わり衝撃で変形しやく、蓋をしめても隙間ができてしまいます。
そのため、空気が入りやすくなるばかりではなく、茶葉が湿気やすくなってしまうのです。
一方、丸いお茶缶にすると衝撃が加わっても変形しにくく、蓋を閉めても空気が入らず四角いお茶缶に比べ湿気にくいという特性があるからなのです。
このように四角いお茶缶に比べ丸いお茶缶の方が変形しにくいという特徴から、
今でも日本茶の販売には丸いお茶缶が根強く使用され、
日本茶以外にも海苔の缶も丸い缶を採用しているのです。
湿気を嫌うという観点から、
日本のお茶を販売している企業のこだわりや
相違工夫が昔から日本にはあったのですね。