日本の商店街では、店先に盛り塩が置いてあるのをよく目にしますが、これって何の意味があるのでしょうか。
この盛り塩の意味やその由来がわからず、厄除けやお清めの為に置くというざっくりとした理由しかわからない方も多いのではないでしょうか。
もしお清めの為に置いてあるのならば、すべての店先に盛り塩が置いてあってもおかしくは無いはずですが、盛り塩を置いてある所と置いてない所と様々ですよね。
盛り塩は何の為にと実際店主に聞いてみると、殆どの店が盛り塩は良いお客様を呼び込むためと答えます。
ではなぜ盛り塩を置くとお客さんが来ると言われているのか、その由来をまとめてみました。
盛り塩の由来を知って驚く牛の存在!?
盛り塩の由来は「始皇帝のある逸話」が関係しているのです。
時は紀元前220年頃、今から約2200年前に一代で中華大陸を統一した秦の始皇帝は強大な権力を持っていました。
そんな始皇帝が住む都「咸陽(かんよう)」 には、始皇帝の身の回りを世話するお世話係としておよそ3000人もの女性が住んでいたと言われています。
そして始皇帝は空いた時間があると、そのお世話係の女性たちの家を牛車に乗って尋ねていたというのです。
女性たちは始皇帝に来てもらうためにそれぞれに服を着飾ったり、得意の楽器を弾いたり必死に始皇帝にアピールしていました。
そんな中、始皇帝に来てもらえないある1人の女性が、「どうしたら私のところに始皇帝様が来てくれるかなぁ~」と考えていました。
そこでその1人の女性は、なぜかこっそりと盛り塩を家の前に置いたのです。
「これで始皇帝様は私の家に来てくれるはず」と期待を膨らませていると、なんと女性の狙い通りに始皇帝がその家にやってきたというのです。
なぜ始皇帝は盛り塩を置いた女性の家に来たのか?
昔は塩は高級であった為、それを持っていることをアピールしたかったのでしょうか。
女性が盛り塩を入り口に置いた後、始皇帝はいつものように牛車に乗り「誰の家に立ち寄ろうか?」と迷っていました。
その時、牛が突然走り出し一人の女性が家の前に置いた盛り塩を舐めるのに夢中になってしまい、しばらく動かなくなってしまいました。
実は、牛はこの盛り塩が大好物。
つまりこの女性は牛の大好物は盛り塩(塩)だという事を知っており、家の前に盛り塩を置くことで牛車が止まり始皇帝が自分の家に来てくれるものと考えていたのです。
そして「牛が動かない!?どうしようか?なら仕方がない・・・」ということで、「今日はこの家に立ち寄って行こう」という事でその盛り塩を置いてあった家に立ち寄ったと言われています。
その後「盛り塩を置くことでこれまで来なかった始皇帝が来てくれた」と言う逸話が中華大陸全土に広まりました。
それがいつしかお店の前に盛り塩を置くことでこれまで来なかったお客さんが来てくれると言われるようになった事が盛り塩伝説の由来でした。
そして日本にも奈良時代の頃その風習が伝わり、現在に至るまでお客さんを呼び込みたいお店は店先には必ず盛り塩を置いているのです。
この様に中国から伝わってきた盛り塩の由来には牛が関わっており、商売繁盛を意味する説もあります。
一方で日本最古の書物『古事記』では、盛り塩の由来は日本古来から葬儀式の後に塩を撒き、神棚にも盛り塩を飾ることも有ってか、厄除けやお清めの意味で玄関先に盛り塩を置くという日本独自の由来もあるようです。
いずれにせよ盛り塩には、
- 【中国発】牛に盛り塩を舐めさせ立ち止ませるため→商売繁盛、良い客人を引き寄せる
- 【日本発】厄除けやお清めのため
と諸説は有りますのでどちらも正しいようです。