日本ではケーキ屋さんに行くとチョコレートを使ったケーキはチョコレートケーキ、チーズを使ったケーキは同じくチーズケーキというそのままの名前で売られています。
しかし、イチゴがのったケーキは「イチゴケーキ」または「ストロベリーケーキ」ではなく、なぜ「ショートケーキ」という名前で売られているのでしょう。
皆さんはこの意味や由来、知っていましたか?
ご家庭でお子様の誕生日には欠かせないショートケーキ、自分の子供さんに質問されても答えられないと今更ながら恥ずかしいですよね?
ちなみに、外国ではイチゴがのったケーキを「ストロベリーケーキ」と呼んでいます。
イチゴを使ったケーキを販売した不二家では、大正11年に「ショートケーキ」という名前で販売した記録が残っており、それが日本で最初であるといわれています。
ショートケーキの由来は不二家の創業者「藤井林右衛門」がアメリカにケーキの視察に行ったことがきっかけだったと言われています。
そんなショートケーキのショートの意味や、またショートケーキの由来などを調べてみましたので紹介したいと思います。
ショートケーキのショートの意味や由来とは!?
ショートケーキが誕生した由来は、明治43年に横浜元町に洋菓子店としてオープンさせた不二家。
創業者藤井林右衛門が開店から2年後の大正元年に、新商品開発の視察ためにアメリカへ渡り、現地で流行っているケーキがどんなものかというのがキッカケでした。
当時アメリカで流行っていたショートケーキは、現在日本で売られているショートケーキのあの柔らかいスポンジのイメージではなく、スコーンのような生地でイチゴや生クリームを挟んだケーキ。
藤井林右衛門はなぜショートケーキなのかと質問すると、それは作るときに「ショートニング」を使っているからだと教えられたそうです。
ショートニングとは植物性油や動物性油を固形状にした油脂のことで、ビスケットなどをお菓子を作るときに生地をサクサクにする為の材料。
つまりショートケーキの「ショート」とは生地に使う「ショートニング」が名前の由来だったのです。
実は「ショートニング」はスーパーなどで1個230円位で販売されており、お菓子作りをする人の間では割とポピュラーな商品です。
ショートケーキのサクサクからなぜスポンジ生地へ!?
現在で販売されているショートケーキをなぜふわふわのスポンジの生地に変更したのでしょうか。
アメリカのショートケーキのおいしさに感動した不二家の創業者藤井林右衛門は日本に帰国後、アメリカのショートケーキを参考に新しいケーキ作りに取り組みました。
実際にアメリカのショートケーキを食べてみると、味は美味しいがパサパサでとても食べづらく、口の水分が全部持っていかれるような食感なのです。日本人の口にはなかなか合いそうもありません。
そこで生地作りに悩んでいた藤井林右衛門の目に止まったものはなんとカステラだったのです。カステラは当時から世に出回っており、ふわふわのスポンジ生地でショートケーキを作れば日本で人気になること間違いないと思ったそうです。
下の写真は、大正11年に藤井林右衛門が初めて作ったイチゴがのったショートケーキを再現したもの。
カステラのようなスポンジ生地で、その上に生クリームやイチゴ、フルーツをのせるというホールケーキだったのです。
当時はショートケーキにショートニングは使用していませんが、アメリカのショートケーキを参考にしたから「ショートケーキ」という名前にしようというのが最初の由来。
こうしてホールケーキの日本版ショートケーキが誕生しました。
そのため現在の不二家では、イチゴやフルーツを使用したホールケーキを「苺のショートケーキ」という名前で各店舗で販売しているのです。
その後昭和になってから、生クリームと一番相性の良いイチゴだけを乗せた、まさにショートという名前にふさわしい小ぶりのショートケーキを作るようになりました。
そして、とても美味しくまた購入しやすい価格が評判となり、全国の洋菓子店でもショートケーキを作るようになり、イチゴを上に乗せたケーキをショートケーキとして定着したのです。
このように、イチゴを乗せたケーキをショートケーキと呼ぶ意味は、アメリカでショートニングという材料を使用してショートケーキを作っていたからこの名をつけたのが由来です。
皆さんもご承知でしょうが、今もこのショートケーキの形は何も変わっていません。
これからも美味しくてふわふわのショートケーキ、これからも形や味を損ねることなく100年後も長い歴史を辿って次の世代へと受け継がれることを願いたいものです。
そして孫の時代までもショートケーキに意味や由来を教えていくことが現代の日本人には大事な役目となっていくことでしょう。
今回はショートケーキのショートの意味や由来をまとめてみました。少しでも皆さんのお役に立てれば幸いです。