世間で被害が多発している振り込め詐欺は、そもそも2003年頃から生まれたオレオレ詐欺から急増し始めたと言われています。
実は近年その被害額は増え続けており、振り込め詐欺の種類も多様化で複雑化してきており、警察などでもその詐欺対策に頭を痛めているのではないでしょうか。
2017年の最新の報告によると振り込め詐欺などの被害件数あは年間およそ18000件、被害額はなんと過去最高の約390億円にも及んでいるのです。
ではなぜ未だに多くの人が振り込め詐欺の手口を知っているはずなのに、意図も簡単にこの振り込め詐欺の被害にあってしまうのでしょうか。
皆さんも信じられないかも知れませんが、大きく分けると「2005年、2007年、2013年、2016年」と過去4回、警察の詐欺対策をかいくぐってきて進化しているのです。そして詐欺の手口が巧妙になっているために現在も詐欺被害が増え続けているのです。
警察がいくら詐欺対策をしても犯人グループは次々と詐欺手口を変えて来ます。その功名な手口に対抗するがごとく詐欺被害を防ぐために警察はどのような詐欺対策をとってきたのか、詐欺の手口の進化と警察の詐欺対策を並行して解説していきます。
振り込め詐欺被害の手口とその対策方法
オレオレ詐欺の手口
この詐欺は、皆さんもご承知のとおり電話の第一声が「オレオレ」と始まり、息子になりすます手口の詐欺を「オレオレ詐欺」と呼ばれていました。
この詐欺の特徴は「事故を起こしたので示談金を至急振り込まなくてはいけない」「会社の金を使い込んで首になりそうだ」と言い、ATM で振り込ませようとするのが特徴です。
息子の困った口調から親に信じ混ませるといった振り込め詐欺。
【警察がとった対策】
オレオレ詐欺から電話がかかってきた時の対策として「家族で合言葉を決めておく」という事を推奨していました。
一般的に考えれば、例えば息子の名前が一郎だとしたら、息子とは別の名前を言う~という方法も詐欺にあわない方法かもしれません。合言葉は、何でも良いのです。
実の息子と「次の誕生日に何処に連れていってくれるんだっけ?」とか電話口の母親が質問したら「誕生日は伊豆の温泉」と決めメモを電話口に貼っておくという対策をしておけば良いのです。
詐欺グループが合言葉の内容を正確に答えることが出来ない時は、本当の息子ではない事が判明するため詐欺の被害を未然に防ぐことが出来るのです。
劇場型振り込め詐欺
オレオレ詐欺の対策法を見破った詐欺グループが次に考えた詐欺の手口は、家族間で合言葉を使えさせない様にした2005年頃から始まった「劇場型振り込め詐欺」です。
その詐欺の手口は、家族以外の第三者に成りすまし、「警察署生活安全課」と名乗り「息子が事故を起こして示談金が必要だ!」とか、「電車内での痴漢容疑で警察に拘留中・・・」と電話をしてくるもの。
更に詐欺グループは相手を信じ込ませる為に、警察の電話を切った後にすぐ「弁護士」から電話が来て「示談金100万支払えば訴訟を取り消す交渉が可能だ」などと言ってきます。
この様に詐欺グループは複数人で演じる手口がまるで劇場のお芝居に見えることから、劇場型振り込め詐欺と呼ばれるようになったのです。
【警察がとった対策】
劇場型振り込め詐欺は、その手口の巧妙さから騙されてお金を振り込んでしまう高齢者が急増したため、警察はお金を振り込む間際で対策を考えていました。
その詐欺対策として、金融機関の協力を得て、ATMの振り込みボタンを押した時に「振り込め詐欺にご注意ください」と注意書きをATMの画面に出るようにしたのです。
これは今現在でも振り込みボタンを押すだけで詐欺だと気が付くよう出ています。
振り込んであげる詐欺
詐欺グループは、劇場型振り込め詐欺のATM注意画面を見落とさせる為に新たに考え付いたのが「振り込んであげる詐欺」です。
2006年におきた年金記録問題で、社会保険庁のミスから約5000万件もの年金支払い記録が宙に浮いてしまったという事件。
実際多くの人に支払われるべき未払い年金の支払を悪用し2007年頃から「お金が戻ってくる!貰わないと損する」といった事件に乗っかり、人の欲に付け込んだ新しい詐欺の手口です。
詐欺グループは、これまでの「お金を振り込んでください」ではなく、「お金をあげます」という手口に進化させたのです。
市役所職員を装い「年金をお返しするために連絡しました」と電話がかかってきます。
そして「実は還付金の期日が今日までなんですが~」と銀行の閉店時間ギリギリに電話を掛け、高齢者を焦らせ冷静な判断が出来ないようATM まで誘導させてしまうのです。
そして、高齢者の心理を利用しキャッシュカードを入れ「お金を振り込みますから、振り込みボタンを押してください。」と言われるのです。
本来であれば相手にお金を振り込む時に押すボタンだが、あたかも自分のお金が振り込まれるかのように誘導されるので疑いもなくボタンを押してしまうのです。
更に、詐欺グループの言われるとおり「年金の整理番号を間違いなく押してください」と言われます。なんとその番号自体が詐欺グループの振り込み先口座番号。
お金が戻ってくるという被害者の思い込みから「自分は詐欺にあっていない」「自分には当てはまらない」と、ATMの注意書きも目に留まらず無視して先に進んでしまうのです。
このように振り込んであげる詐欺にはこの他にも健康保険料の返金、医療費の返金など戻ってくるという名目で逆に自ら振り込んでしまうといった摩訶不思議な手口で多くの被害を生んでいるのです。
【警察がとった対策】
振込額を限定とする方法
【ATM での1日の振込限度額を現金10万円まで、キャッシュカードは100万円までとする】といった方策をとり被害額の減少に繋がりました。(※金融機関によって異なります)
ATM側にセンサーを設置する方法
ATM の前で10秒以上携帯電話をしていると携帯電話の電波を自動的に感知し、警報アナウンス「還付金が戻ってくると言われATM で手続きするよう指示されていませんか?・・・・・」が流れるといった振り込め詐欺防止装置を全国35の金融機関に設置、詐欺を未然に防いでいます。
お金が戻ってくるから………と言われても、絶対に銀行などのATMには行かないことが重要なのはポイントになってきますね。
郵送させる詐欺
2013年にはATM も使わせず新たに、レターパックで現金を送らせる「郵送させる詐欺」を生みだしました。
その手口は、息子の上司に成り済まし、「横領を働いたから至急お金を用意してくれ❗レターパックに入れて郵送してもらうことは可能か?」などという電話がかかってきます。
レターパックは中身が見えず、専用封筒を使って品物を送付することが出来る郵便サービスで、わざわざ郵便局に行かなくてもコンビニで手軽に購入できポストに投函するだけのもの。
本来レターパックを利用して現金そのものを送ることは郵送法で禁止されていますが、その気軽い作業から詐欺グループはATM を使わずお金を奪い取るといった手口を考え付いたのです。
【警察がとった対策】
そこで警察は郵便局の協力を得て考え出された詐欺対策は、レターパックの封部分2ヶ所に「レターパックで現金送れはすべて詐欺」と明記したことです。
これにより現金その物を気軽に送ることが出来ないばかりか、詐欺にも騙されにくいといった効果があったようです。
手渡し型詐欺
「手渡し型詐欺」は、ATMでも郵送でもない従来型の詐欺から一転し、現金を直接騙し取られるといった特徴の新しい詐欺の手口が2016年から増え始めました。
手渡し型詐欺の落とし穴は、先ず振り込め詐欺グループの弁護士役から電話がかかり、「交通事故で示談金を直ぐ払えば訴えないと言っているが現金用意できるか?」と言ってきます。その後詐欺グループの弁護士役が大胆にも自宅に直接現金を受け取りに行くと約束されます。
もしかしたら詐欺なのではと被害者は気付くのですが、その直後、警察官を名乗る男から電話が来て「そちらの地域で振り込め詐欺ほ電話がかっかって来たという報告があり注意の呼び掛けをしている。もしそんな電話掛かってきていれば詳しく聞きたい」と言われて安心するのですが、実はこの警察官も詐欺グループの一人なのです。
詐欺グループの手口は「このまま騙された振りをしていただけないか。犯人が取りに来たら実際のお金を渡してください」「数名の警察官が包囲しますから~」と警察のおとり捜査を装った大胆不敵な詐欺の手口です。
「犯人を逮捕したらちゃんと現金は返す!」とまで言ってきます。
ここまでくると被害者側は近くに警察官がいるということから安心して現金を渡してしまうのです。何を信じていいのかわからなくて混乱してしまいますよね。
【警察がとった対策】
実際に警察でも「騙されたふり作戦」に協力をお願いしているのは確かです。但し、警察が行っている騙されたふり作戦は大きな違いがあります。
市民から相談や依頼があった場合のみ行う。
警察から電話をかけて「騙されたふり作戦」を依頼することは一切ないので、もしそのようなことがあれば詐欺だと疑ってみましょう。
犯人に渡すお金は警察が準備したおもちゃのお金を使用する。
実際に本物のお金を用意して渡してください!と言われたら完全に詐欺と思って間違いないことから、詐欺グループと本物の見分け方が理解できますね。
これまでオレオレ詐欺から劇場型振り込め詐欺、振り込んであげる詐欺、レターパック詐欺、手渡し型詐欺まで時代と共に詐欺手口が進化して来ていますが近年新たな詐欺も生まれています。
2019年、特に気を付けなければならない最新の詐欺とは
クレジットカード詐欺
詐欺グループの新しい手口は、クレジットカード会社の社員を名乗る男から、「カードの不正利用された可能性がある」といって電話がかかってくる「クレジットカード詐欺」というもの。自分のカードが不正利用された場合は早急に口座を止めたいという心理になります。
そこで更に銀行員を名乗る男からも電話があり、不正利用されないよう銀行キャッシュカードのセキュリティー強化のためにキャッシュカードの交換を依頼されるのです。
程なくして銀行員のなりすました詐欺グループが訪問し、キャッシュカード交換のために名前、住所、口座番号、キャッシュカードの暗証番号、その上個人情報保護シールなど書類一式を渡されるのです。
これにはなんの疑いもなく安心してしまい、暗証番号と自分のキャッシュカードまで渡し、口座からいとも簡単に現金を奪い取られてしまうという怖ろしい手口です。
【クレジットカード詐欺の対応策】
銀行職員がカードの交換で直接顧客宅に訪問することはありません。カードにもし不具合か問題があれば、その場でカードをはさみなどで切り使えないようにしてくださいという案内のみ。その後新しいキャッシュカードが郵送されます。
これが正式な交換手続きなので、直接取りに来る場合は詐欺ですのでくれぐれも騙されないよう注意が必要です。
オリンピック詐欺
この「オリンピック詐欺」の手口は、オリンピック振興会職員を装った人物から電話がかかってきて、近隣地区も住む方に東京オリンピック開会式のチケットを特別価格20万円で販売するもの。
詐欺グループはただ販売するだけではなく、一度電話を切った直後にチケット販売業者を名乗る男から「もしオリンピックチケットを買っていたのなら35万円で譲ってほしい」と言われます。
被害者側はここで「買っておけば良かった、15万円儲かっていたのに~」と後悔してしまいます。
そこで「また電話があるかもしれないので購入したらまた電話下さい!」と言われ一度切ってしまいます。再びオリンピック振興会職員を名乗った男から電話があり、多く買い転売すれば儲けも多額になると思い、被害者は即決で多額のチケットを購入してしまうのです。
このようにして、ありもしないチケットを購入し多額のお金を振り込ませるといった欲に漬け込んで騙すという汚い手口です。勿論いつまでたってもチケットは届くことはありません。
【オリンピック詐欺の対応策】
この振り込め詐欺のように騙されないための対策で知っておきたいことは、オリンピックチケットを購入する場合は電話の勧誘やネットなど変なところからは購入しないことです。
不安であればオリンピックの正規の窓口である所から購入した方が安全であるということになります。
もうけ話に釣られ、欲を書いたことにより多額のお金が詐欺に会うことは今の世の中いくらでもあります。振り込め詐欺の巧妙な手口はこれからもどんどん進化してきます。
自分には関係ない、自分だけは大丈夫だと過信せず、少しでもおかしいと思ったら疑ってみることが重要になってきます。
そして、この振り込め詐欺は固定電話に集中しておりお金が中心となります。電話口での会話が「至急お金が必要だ!」、「早くしないと間に合わない。大変なことになる」といった言葉を聞いたら要注意です。
不安になったり、よくわからないことがあれば遠慮なく警察に相談することが大事でありATMも銀行を中心として詐欺対策が進んでいます。考えている時間で絶対に損することはありません。
振り込め詐欺などその手口など高齢者には難しいかもしれませんが、日頃から家族でよく話し合い大きな被害に遭わないことがこれからの課題になってくるのではないでしょうか。
今回は、最新の振り込め詐欺にあわないためにどうしたらいいかをまとめてみました。少しでも参考になれば幸いです。