ドライブスルーの葬儀が全国初・長野にオープンし、受付、焼香が出来るという画期的なシステム。これに対し読者の皆さんはどう感じとれますか?
ドライブスルーといえば、1930年にアメリカで生まれ1965年には東京の山本海苔店が最初に出来たと言われています。現在では、洗車、スタバ、マック、ケンタッキーなどなど有名な所が沢山出来てきました。
本来、飲食系列のドライブスルー利用者の目的からすれば、さっさと用事を済ませて移動したい!という最小限そこに滞在するだけでいい、というのが魅力ですよね。
一方、ドライブスルー葬儀や焼香は、高齢者や障害者でも無理なく葬儀に参列できるようにというコンセプトで始まっています。そこには知られざるギャップが生じてきているような気がします。今回はそんな賛否両論が出ているドライブスルー葬儀の現状にフォーカスしてみました。
ドライブスルーの葬儀、焼香その意味とは?
長野での葬儀場では、ドライブスルー葬儀用のタブレットを使用し、車の窓口から名前、住所を打ち込み、香典を係員に手渡し焼香が可能。式場に居る遺族達は葬儀場のモニターで来訪者を確認し3分ほどの時間で一連の焼香が済むと言う画期的で素晴らしいシステムである。
しかし、このドライブスルー葬儀の報道写真を見ると、若い人までもドライブスルーを利用している様にも思えて仕方がない。まさか若い人は線引きしてドライブスルーの葬儀や焼香はお断り出来ないでしょうからね。また私も葬儀社経験者、長野の冬は寒いはずです。冷たい風が吹き込んでドライブスルーの窓口で香典が飛んで行ったり、焼香の灰汁が飛んだりしないのでしょうか?そんな心配をしてしまいます。
読者の皆さんはこのドライブスルー葬儀の在り方についてどう思いますか?
ドライブスルーの葬儀、焼香についてツイッターの反応は
“介護を受けている人など、焼香に来たくても来られない人が多い。ドライブスルーは簡略化ではなく、そういう人たちに来てもらうためのもの”が目的であるドライブスルー葬儀や焼香であるが、“高齢者や障害者のためにすごいことを考えてくれた”と評価する声も多いのは現実であろう。
では、実際のドライブスルーの葬儀や焼香について、ツイッターでの反応はどんなものがあるのでしょうか。
- 葬儀の「簡素化」で体が弱っても葬儀に参列できる。祖母が死んだとき、祖母の妹はもう足腰が弱っていて葬儀には参加できなかった。あれから20年。今だったら参加できた
- ドライブスルー葬儀について、昨日は批判的に感じましたが、良く考えたら、遺族と参列者の双方が納得しているなら、良いと思いました。うちの親は身内に面倒や気遣いをかけたくないと直葬を希望しているが、ドライブスルー葬儀を提案してみても良いと思いました。出来る葬儀場があれば・・・
- ドライブスルーの葬儀場作るより、バリアフリーの葬儀場を作るべきだと思う。亡くなった方に焼香もできない。
- ドライブスルー葬儀はやり方によってはギリ許す。でも、ペッパーのお坊さんは必要ないだろう。
- 受付の人に差し出されて、車窓からお焼香。“真心が無さすぎる”とか、“今の時代だから、いいんじゃない?”と、賛否両論。葬儀までも、多様性の時代。
- 車に乗れるなら葬儀場の中も入れるって言ってたけど、乗降車自体が大変で加えて車椅子移動は周りに気を使うし、障害に理解のない方には知的や身障者の言動に対して不謹慎とかいう人もいるので、手段がどうとかってら話とは別だと思うんだ。
- 既存の葬儀場の壁を改装し窓口を付けた形だけど、これなら葬儀場そのものは必要ないよねという形にしか進化しないと思います。
- 体の不自由や忙しさを言い訳にしてまで葬儀に来たくないのならわざわざ来てもらわなくても構わないし、葬儀への参列はドライブスルーで済ませばいいやっていう位の気持ちなら故人はその人にとってその程度の人物だったって事だよな。
賛否両論、概ね反対、たまに賛成であると言うのがドライブスルー葬儀への評判となっています。故人へのお別れ、また自分の子供たちへの教育としているがキチンとした葬儀が必要ではないかという声も多かったです。
ドライブスルー葬儀や焼香・受付などのメリットデメリット
実際にドライブスルー葬儀で受付をし、焼香した場合どんなことが予想できるでしょうか?いくつか取り上げてみました。
ドライブスルー葬儀や焼香・受付などのメリット
・雨天時など天候に左右されなくて済む。
・車椅子で車の乗り降りがしなくて便利である。
・時間が無い場合は重宝である。
・香典は出したいが、個人的に遺族の顔だけは見たくない人には便利。
ドライブスルー葬儀や焼香・受付などのデメリット
・何人もの人が利用し集中した場合、車が渋滞し待たされないのか?
・老人会など何台かの自家用車で来た場合、意見が分かれて統一した弔問、焼香が出来るのか?
・年寄りにタブレットがうまく使えるのか? その場合時間はかからないのか?
・弔問客は簡素化に済ませたくても遺族が挨拶したい時など内外を往来する不便さが発生するのでは?
・式場正面でないと祭壇が見たくても見れないのでは?
・・・など、どちらかと言えばシステム中心に考えれば利便性は高いですが、人間関係でギクシャクしてしまいそうな気がします。
これからのドライブスルー葬儀や焼香は発展するか?
この事から現場を見ている葬儀社から見ると、ほとんどの人が嫌がっている事を葬儀社自体、新規に導入することに躊躇してしまいます。その上、細かいトラブルなど発生する可能性も高くなってくるかもしれません。「そこまできているなら車から降りて挨拶に来いよ!」と言われないとも限りません。葬儀は喪主とその家族が納得してドライブスルー葬儀を利用しても、親戚は何家族もあるわけです。その親戚たちが非常識であると反応してしまう事が容易に想像できるかと考えます。
葬儀社もいろいろな所に設備投資しているので、周りでとやかくいう必要はないわけですが、海外ではこれ以上に凄いシステムのドライブスルー葬儀が存在すると言われているので、これから日本で流行るか流行らないかはこれからの展望を期待して行きたいと思います。私がもし、葬儀場の一角にでもドリブスルーを企画するとしたら、設備投資を少なくし無料で温かい珈琲や軽食を弔問客に振る舞った方が利得に感じます。遺族に気兼ねして食事が摂れなかったとか、時間のない方でもコンビニに寄る代わりにここで済ませる・・・という方も出てくるでしょう。葬儀には関係ない人もドライブスルーだったら来るかもしれません。この場合だと係員に「いらっしゃいませ~」って挨拶されてもおかしくないですよね?
私はこの方式を10年前に一度考えたことがあり、今のドライブスルーで葬儀や焼香する形態が流行るのなら、珈琲や軽食を振る舞うその夢も現実化したいなあと仄かに考えています。超高齢化が進む中で、AI技術の進歩でお坊さんが居なくても、式場が無くても済む時代がやってくる気がします。本来の故人に対する偲ぶ心はこれからの時代も必要不可欠です。皆さんも、これから大切な方をお見送りする為に何が一番幸せなのかを今一度見直してみてはいかがでしょうか。少しでも参考になりましたら幸いです。