雇用保険にも加入していて雇用条件が決して悪くはなかった会社から、会社都合で離職させられた無職の男性。年齢は私の1つ上で間もなく60歳になる中年男性の実体験談である。
離職理由は、会社経営が悪化し人員整理のため予定外通告で雇用契約満了とされたもの。定年を迎える年齢には達してはいたが、辞めたら後はない。
雇用条件も土日祝日が休暇で、作業も軽量、給与金額も普通クラスのレベルである。もう人生最後の仕事場と心に決めてはいたがこのタイミングで辞めたら再就職は年齢的に難しい。
しかし、本人は離職前から半年間にわたり会社上司からパワハラやモワハラに遭う。毎日会社に行くのが嫌で体重も激減しうつ病になった。辛い日々を半年間頑張っては来たがもう限界に達し離職を考えていた矢先でもあった。
丁度良いタイミングで会社を辞められる。とても嬉しかった。だが一度辞めたら次の就職先を探さなければならない。嬉しい反面、条件のいい再就職先の不安が襲って来たのである。
必要書類を整えハローワークへ行き、雇用保険の手続き、説明会、受給期間や金額も出た。雇用保険の受給期間は会社都合のため、初月から90日支給される予定となっている。
雇用保険をもらわないと損!無職とうつ病に追われた悲劇
自分はまだ仕事ができる体だ。年齢から考えても通勤は近い方がいい、労働は軽い方がいい、金額も高い所があればいい・・・と軽い考えで探してはみたものの条件は甘かった。
ほとんどの求人が59歳未満の条件ばかり。面接前に会社へ履歴書を郵送しても年齢で落とされて不採用が続き難しい。資格は持っているが、その資格を生かすとなれば長時間労働で休日も不安定。
おまけに眠気も襲ってくるといった離職前の悪の世界へ逆戻りする形になってしまう。それは嫌だ。
無職になり月日が経過するごとに起きる、再就職の不安と焦りとはこのことだったのである。うつ病が再発しそうと嘆いていたその友人は今どうしているのか。
雇用保険受給手続きをして失業給付金内で1日生活できる
定年まじかの中年男性は、驚くべき行動に出た。
離職中に雇用保険を貰いながら「取りあえず節約モードで暮らそう」というもの。
実はその友人は、数年前に離婚をして単身生活だった。
離婚と同時に持ち家を売り払い、その売却した金額を慰謝料や子供の養育費、借金などにあて全てチャラとなっていた。
だから何の借金もないので、贅沢をしなければ無職の生活はなんとか送れる状況である。
友人の考えでは、毎月の節約をどうするかではなく、最低限の生活で何カ月生活できるかを計算していた。
毎月かかる家賃や高熱給水費、保険、毎日の飲食代などの経費金額を細かく計算していたのだ。
私には到底まねのできないこと。
その内訳はこうである。
生活条件として、60歳男性は一人暮らし。
贅沢をせずに外出も控え、食事は料理が苦手の為レトルト商品やレンジ調理のみ、風呂や洗濯は2日に一度のペース。
外出しないのでコンビニ利用や自家用車のガソリン代は掛からない条件とする。
これを1カ月続けたら、果たしていくらになるかの計算だ。
収入金額:
雇用保険受給額【6300円/日×30日=189,000円】
支出金額:
- アパート家賃(P/NET) 60,200円
- 携帯電話代 8,000円
- 電気料金 10,000円
- 水道代 3,100円
- ガス代 2,400円
- 生命保険等 21,500円
- 食費3食 22,000円
- 生活雑貨費 2,800円
- 煙草代 9,000円
支出合計:139,000円
差引金額: 50,000円
なんと無職でありながら月5万円という金額を浮かすことが出来たのだ。雇用保険いわゆる失業保険の考え方を変えれば、もらわないと損ということにもなる。
日中ずっと家に居ることになるので月の暖房費等で電気代や水道代の金額が嵩むかと思いきや。1日置きの風呂と洗濯を節約しているからだろうか。
それに離職前に自家用車の燃料は2ヵ月経過しても未だ半分は残っているという。因みに、会社都合で離職した関係上、離職前に有給を1カ月間分貰っているので、実際の無職期間は2ヵ月平均だそうです。
私は驚きました。
ただ、健康保険料を任意継続に切り替えたので32,000円はここから引く形となるのです。よってさほど余裕はないが、我慢すれば何とか生きられると本人は言っていました。
雇用条件を無視し、焦って再就職すれば長続きはしない。その上、給与金額が安すぎては生活を維持していく事が困難になってはもともこもないですからね。
雇用保険、お得にもなるハローワークの再就職手当
今はハローワークの求人情報も自宅のインターネットから閲覧できるようになって便利になっています。また、早期に再就職をすれば雇用期間の残日数分が支給される「再就職手当」の制度も手厚くなっています。
さらに、もし再就職先に6カ月勤務して離職前の賃金よりも低い場合には、
「就職促進定着手当」という制度もあります。
6カ月を過ぎた時点でハローワークに申請手続きをすればそちらも支給されます。辞めたら貰える、ちょっとしたボーナスみたいなものですね。
私の友人は今、給与金額が多少低くても労働環境が良い所を狙っています。その上雇用保険給付日数を70日残して「再就職手当」と「就職促進定着手当」の2つを賢く頂戴しようと狙っています。
このように雇用保険(失業保険)を上手に利用することで、会社都合で離職した時のうつ病は回復し、夢をもって就職活動が出来ています。
今回は、離職し無職になったらどうしようという不安から、雇用保険で1ヵ月の生活をどう切り抜けられるか金額に表してみました。
離職中無職の皆さんも、失業保険を貰いながら第二第三の人生を歩む上で一日も早い再就職を願っています。
実話を基にした本当の話、少しでもお役に立てたら幸いに思います。