日本の人数の数え方には「何人」という「人」という数え方が多いと思います。
しかし稀に「何名」という「名」という数え方をする場合もありますよね。
よく銀行や役所、携帯ショップなど整理券待ちの場合の時など「〇人」という数え方。
一方でレストランなど飲食店などの予約表には、「大人〇名様」と使い分けしています。
ん?これって本当はどっち?
外国人にはこの数え方の違いや使い方はほぼわからないと思いますが、日本人でもはっきりとした使い方を知っている人は少ないと思います。
勿論人と名、この使い方や違い、数え方の違いなどは学校でも教えてはくれません。
不思議とどっちかと疑問を持たれることですが、人と名はどういった違いや使い方または使い分けがあるのでしょうか。その意味などを調べてみました。
人と名、数え方の違いはどのように使い分けられる?
例えば、武道館ライブの観客数の数え方は、「観客数8000人」と「人」で数えられています。
一方、武道館ライブの出演者の数え方は「50名の出演者」などという使い分けの仕方です。
また、募集人数を表す数え方は「募集人数:10人」、
会社社員は「従業員数:500名」などと、数え方や使い方がみんなまちまちです。
ではいったいどっちが正しくて、この違い何なんでしょう?
この件に関してあまり詳しくない人は、こんな意見が出ることがあります。
・「人」は、だいたいの数を表す時。「名」は、正確な数を表す時。
・「人」は、名前を出せない時。「名」は、名前を出せる時。
などという人が大半です。
人の数を「人」と「名」、数え方の違いとは
人の数を何人とか何名とかの使い分けは、「個人を特定できる、出来ないか」で使い分けしているのです。
個人を特定できない場合は「人」
個人を特定できる場合は「名」
として使い分けします。
銀行や役所、携帯ショップなど整理券待ちの場合の時などは、どんな人が待っているのか順番待ちをしている段階では、個人を特定できないため「人」と表示。
武道館ライブの観客数を表示する場合は、一人一人入口で名前を確認しませんよね。つまり個人を特定できないことから数え方を「観客数8000人」と表現します。
一方で、レストランなど飲食店の順番待ちの場合、店員さんがお客の顔を見て個人名を確認し個人を特定できるので「名」を使うのです。
武道館ライブの出演者を表示する場合は一人一人名前がわかっているので個人を特定できることから数え方を「50名」とした使い分けをするそうです。
そもそも日本では人の数え方は、個人を特定できるか出来ないかに関わらず「人」を使っていました。
奈良時代の日本書記や、平安時代の延喜式を見ても人数表記は全て「人」となっています。
「名」はいつから使い分けされている?
この「名」は明治時代から使い分けされてきていました。陸軍をはじめとする軍隊で使い始められたという説があります。
明治15年に制定された陸軍の報告書雛形を見ると、人数を書く欄は全て〇名と示されています。
これは、明治5年に明治政府は壬申戸籍という「戸籍」を作っていました。
国民一人一人の名前や年齢、住所などを把握するためで、この戸籍を基に満20歳の男性に徴兵検査を義務付け、その合格者が軍人となったのです。
このため、明治以降の陸軍は「個人が特定できる組織」ということで、誰が軍人か?ということもわかっていたわけです。
それにより、江戸時代までの古い組織票と区別するために明治陸軍は人の数え方を「人」ではない数え方にわざわざ変えたのではないかと言われています。
このため、個人を特定できるという意味から、名前の名を取って「名」という数え方にしたといわれています。
ただ近年では、「人」と「名」の使い方や考え方が曖昧になっており、飲食店など丁寧語として「名」を使用する場合が多いようです。
いきなり人数の数え方を何人や何名と使い方を聞かれても、すぐには回答できないのが現実かと思います。
しかし、「人」と「名」の数え方には、キチンとした歴史があることがわかりましたね。ただ単にどちらでもよいという数え方ではなかったようです。
もしお友達の間でこんな話題が出た場合には、個人を特定できない「人」、個人を特定できる「名」として覚えておけばハナタカですね。