急遽葬儀に参列する事になり服装や作法、そして葬儀のマナーなどで迷ったことはありませんか?
葬儀の作法やマナーなど漠然とした知識は持っていても、喪服やバッグ、靴などの身だしなみ、焼香や挨拶など細かい所まで正確には分からないと戸惑ってしまいますよね。
前の人の焼香の仕方を真似て遣っているので焼香の回数は何も分かっていない。香典袋に御霊前と書くのか御仏前と書くのかお香典の書き方がよく分からない。
など、街頭で聞いてみるとこんな声が多く聞こえてきます。香典の書き方や服装、お焼香の回数など普段何気なく参列しているご葬儀。
ついやりがちだが実は相応しくない葬儀のしきたりや礼儀作法など、細かい点をピックアップしながら説明したいと思います。
葬儀の喪服は、黒色の仕事着スーツで参列・・・!?
これは葬儀に相応しくありません!
一般的なスーツの場合、後ろ側に切れ込み(センターベント・サイドベンツ)がありますが、正式な喪服の場合はこの切れ込みは無いのです。
この後ろに切れ込みのあるもの全ては葬儀には相応しくありません。
この理由は、昔西洋で貴族たちが剣を持って武装しており、その際に着やすいジャケットはないかと切れ込みが入った服を着用していたのが始まりです。
- 乗馬をする際にセンターに切れ込みが有った方が邪魔にならないようにと考えられたもの。
- 剣を持つ時抜き差しする際にサイドに切れ込みがあると剣が抜きやすいという事から考え出したもの。
裾が突っ張ったり巻き込まれたりせず、動きやすくするために付けられたものなのです。
しかし、葬儀は「静かにたたずんで忍ぶ場所」であって武装する場所ではないことから、切れ込みのあるスーツは葬儀マナーやしきたりに反しますので相応しくありません。
このことから、いくら黒色でも「センターベントやサイドベンツ」のように切れ込みの入ったビジネススーツを着て葬儀に参列する事だけは避けたいですね。
葬儀の黒いバッグは、革製でもいい!?
これも葬儀には相応しくありません!
この理由は、皮製品は牛などの動物のもので作られており「殺生(せっしょう)」という意味合いから相応しくないのです。
正式には布製バッグが良いのですが、なかなか用意が出来ないと思いますので、その場合は皮のように見えて皮の素材ではない「合皮製品」の物を揃えたほうが良いでしょう。
バッグ以外にも靴やベルトなど有りますが、これも合皮製品の物を揃えたほうが無難ですね。
葬儀に真珠のネックレスは2連でも良いか!?
これも相応しくありません。
この理由として、そもそも葬儀会場にアクセサリーなど華美なものをつけて行くものではありません。
真珠に関しては一つ一つが「涙」に見え、涙の象徴として世界的にも女性たちは真珠を身に着ける方が多いのです。
なぜ2連が相応しくないかと言うと、
「2連=不幸が重なる」
という事を連鎖させるために「1連」の方が相応しいのです。
葬儀に持参する香典袋の表書きを「御香典」と書いても良いか!?
これは、相応しいのです。
実際に葬儀には沢山の宗派が有り、「御香典」はどの宗派でも通用する相応しい表書きです。
自分から見て相手が上司や目上の人の葬儀の場合は「御香奠」にした方が最も良く、宗派によって変わりますが
- 49日迄なら「御霊前」
- 49日法要を過ぎたら「御仏前」
と49日を境に使い分けたほうが無難です。
宗派によっては使えない場合もありますので迷ったら「御香典」が一番良いようですね。
葬儀に持参する香典のお札、半分に折ってから入れるのはマナー違反!?
これも、葬儀には相応しい方法です。
この理由は、新札を入れる=前もって不幸を予測し準備していた・・・という意味になってしまいますので、敢えて古いお札や新札でもわざと折ってシワを付けて入れるのです。
お札のシワだけでなく香典袋に入れるお札の入れ方(方向)にも葬儀の作法やマナーがあります。
中包みに入れる場合は、壱萬円が上・福沢諭吉の顔が下方向に、その上で裏返しに入れると言うのが葬儀の正式な作法です。
「親しかった方が亡くなると心が下を向く(顔が伏せる)」という意味合いから、日本人はこういったところにも気持ちを込めてお札を下向きにしたという説があるのです。
因みに香典の相場は、
- 近所の人や友人・・・・・・・・3~5阡円
- 上司や先生・・・・・・・・・・・・1万円
- 親戚・世話になった人・・・3~5阡円
ではなぜ1・3・5という数字を使用しているかというと、故人と切れない様に「縁を長く続けるように」基本的に割れない数字を使用しています。
尚、どうしても2万円のような割れてしまう場合は、
壱萬円札+5阡円札+5阡円札
と3枚入れて故人様を気遣いされる方が良いでしょう。
葬儀の作法で「御冥福をお祈りいたします」という言葉は!?
これは葬儀作法上、相応しくありません。
仏教では極楽浄土という死後の世界が有ります。
そもそもご冥福という言葉は「冥」=暗黒の死後の世界を意味し、浄土宗・浄土真宗・時宗など「冥福を祈る」という言葉が適切ではありません。
このため「お悔やみ申し上げます・・・」と言い換えることにより、仏教に限らず他の宗派にも使用できる言葉になります。
「故人の哀しみを私自身も感じていますよ!」と遺族の方々と共感している言葉となるのです。
ニュースなどでも平気で「御冥福をお祈り申し上げます」と言っているMCもおりますが、「お悔やみ申し上げます・・・」と言葉の締めをした方が葬儀マナーとしては良いようですね。
葬儀作法で数珠を左手で持つのマナー違反!?
これは、相応しいのです。
数珠は本来「お念仏やお経の数を数える玉」であり、そろばんのような使い方をするのです。
僧侶の教本にも「合掌以外の時は左手でしなさい」とありますが、左手で数珠を持つ明確な理由は出てきておりません。
数珠は左手にするのが葬儀マナーであり、僧侶も修行時代に教わっているのです。
葬儀作法で焼香する前に「遺族に一礼」皆やっているけど!?
これは、相応しくありません。
常識から考えて葬儀に参列するのは故人の葬儀であることから、故人に向かって弔意を表す(挨拶や焼香)する事が一番初めに行う事なのです。
その後に、ご遺族代表にお辞儀をするといった順序になるわけです。
初めに遺族に挨拶をしたい場合は、
- →焼香台の手前に立って一礼
- →遺族挨拶
- →焼香
- →遺族挨拶
- →退場
といった順序が一番マナーとしては相応しいのです。
葬儀作法でご焼香を2回するのは!?
これは、相応しいです。
実はご焼香の回数には決まりはありません。
よく1回か3回と言われていますが、1回焼香は心を込めてやればそれは尊い事なのです。
葬儀時間の関係で3回焼香を1回にするという事も良く聞かれます。
しかし、仏教では1回焼香の意味、2回焼香の意味、そして3回焼香の意味があるのですが、僧侶だけが修行の過程の上で教えて貰う「口伝」であり、一般に公表されていません。
周囲の目が気になるという方は葬儀式場での焼香は1回でも3回でも心を込めてお祈りしましょう。
故人に対し「天国で安らかに・・・」!?
これは葬儀作法としては相応しくありません。そもそも皆さんは大きな勘違いをしています。
仏教以外の宗派では「天国で・・・」という言葉を大事にしていますが、仏教には天国という概念がありません。
地獄は有るのですが、天国ではなく「極楽」なのです。
また「安らかに・・・」という言葉も相応しくないのです。
その理由は、故人様たちはあの世に行ってからご先祖様たちは「仏様になるための修行」を長い年月をかけて行います。
修行に向かう故人に対して「天国で安らかにお眠りください」という言葉は葬儀作法やマナーにおいても相応しくありませんので使用しない方が無難ですね。
葬儀のしきたりで同じ道を通って帰って良いのか!?
葬儀から帰る際、来た道と同じ道を通って帰ってはいけません。
これは繰り返しをしてはいけないという理由からで、仏教に拘らず日本人の昔からの風習でもあり、
同じことを繰り返す=死が死を呼んでしまう
という恐れがあるという人間の知恵でもあります。
専門の葬儀社でも、火葬場に向かう霊柩車をはじめ親族様を送迎するバスは、行く道と帰り道のルートは事前に変更して運行しています。
もし同じ道を通らなければいけない場合は、バスの方向を少し変えるなど工夫して運行しているのが現状です。
葬儀のしきたりや礼儀作法は、地域や宗教・宗派によって異なる場合がありますので、
必ずこれでなければいけないという決まりではありません。
しかし、一般的な葬儀の基準や考え方を理解しておけば、
これがなぜ相応しくないのか?
という事がそのシーンシーンで分かってきますよね。
今回は葬儀でうっかり遣ってしまう事や、
皆がやっているから同じことをするといった事を中心に説明させて頂きました。
少しでもお役に立てれば幸いです。