トイレに行く回数は人によって様々で、頻尿と呼ばれおシッコの回数が極端に多い人もいれば、1日に2回といったおシッコが遠い方も居ます。若い方でも映画一本見ている最中、おシッコが我慢出来ない人や、一方でお酒飲みに行ってトイレに一度も行かない人などさまざま。
この頻尿と呼ばれる症状は年齢問わず若い人から高齢者まで多くいらっしゃいます。頻尿の人は、少しでもおシッコに行く回数を減らしたいと悩んでいるはずです。
では、おシッコが我慢できない頻尿の人とおシッコに余り行かなくても平気な人、どんな違いがあるのでしょうか。また、この頻尿の治し方は有るのでしょうか。
若いのに頻尿の人は膀胱の筋力が衰えている!?
頻尿の人はおシッコが遠い人に比べ回数を減らしたいという悩みを持っています。
一般的に、成人した日本人の尿の量は、およそ1~2ℓ/1日。おシッコの回数は、日中で5回前後、夜間で0~1回が正常。この回数を超えると、頻尿の恐れがあります。
ただ、膀胱の容量や水分摂取状況もまちまちで、膀胱に尿がたまってから、「トイレへ行きたい」と感じるまでの回数は個人差があります。
実は、頻繁におシッコに行く頻尿の人とおシッコが遠い人の違いは、膀胱の筋力が衰えているかどうかにあるのです。
比較的若い人は、筋力が衰えていないために頻尿になりにくくおシッコに行く回数も少ないと言えます。
そのメカニズムは、老廃物や不用な水分などは血管を通り腎臓へ運ばれます。そして腎臓で濾過されておシッコになり膀胱へ運ばれます。
そして膀胱に、ある程度たまると、おシッコが排出します。膀胱そのものは筋肉でできているので、唯一伸び縮みする臓器なのです。
頻尿でない人、特におしっこにあまり行かなくていい人は、膀胱の筋肉が柔らかくて伸びやすい、まるでゴム風船のように膀胱が伸び易くおシッコが溜まりやすいのです。
一方で頻繁におしっこに行きたがる人は、膀胱が固くて伸びにくい可能性があり、風船に例えても柔らかくなくとても硬いイメージがあります。
- 膀胱が柔らかい → おシッコを溜めやすい → おシッコに行く回数が少ない
- 膀胱が固い → おシッコを溜めにくい → おシッコに行く回数が多い=頻尿
若い人でも膀胱が衰えていると沢山の問題点が?
膀胱の中に、ある程度おシッコが溜まってくると、それが尿意という形で脳に指令されます。その後、脳から膀胱におしっこを出せという命令が出ます。そして、膀胱がぐっと縮んでおしっこが出るという仕組みです。
しかし、膀胱の筋力が衰えている人は、この溜まったおシッコを十分に出し切る事が出来ません。
その結果、縮みきれない、出しきれないという可能性から残尿として残ってしまい、次に尿意を感じるまでの時間が短くなるため、その繰り返しでおシッコの回数が多くなってしまうのです。そして、この膀胱の筋力が衰えてしまう原因の1つが加齢で、年とともに筋力が落ちてきます。
1日当たりの平均おしっこ回数を年代別に表すと次のようになります。
更に、この加齢によって筋力が衰えた膀胱は収縮する力が衰え、一回にかかるおしっこの時間も年々長くなってきてしまいます。そして、一回のおシッコの時間を約4000人調べた調査があり一回のおしっこにかかる時間は年齢とともに伸びています。
筋力が衰えず収縮力がある若い人の膀胱は、おシッコの勢いもあり、の時間もとても短いです。しかし若い人に比べ、筋力が衰え収縮力がない膀胱は勢いよく出ない為、おしっこに掛かる時間も長くなるのです。
ちなみに若い20代から80代の全世代1回の平均おしっこに掛かる時間は約21秒です。頻尿と疑われる人の中には短い人で5秒と言う驚きの女性もおります。
実はこのおしっこの21秒という時間は、多くの哺乳類の1回のおしっこの時間と同じであるというデータがあります。
この理由は、哺乳類はおしっこを出すことで、その匂いで自分の存在がばれてしまうというものです。そのために、おしっこの回数をできるだけ減らして自分の存在を教えたくないというもの。
しかし、おしっこの時間が長ければ長いほど、おシッコをしている時間の間に敵に襲われてしまう不具合もあり、これは哺乳類の進化の中でおしっこの回数をなるべく減らしおしっこの時間を短くするように改革してきたようです。
そのことで、多くの動物が21秒前後で、人も哺乳類の1つとして21秒前後になっているだろうといいわれています。
頻尿の人は心理的な原因もある!?
若い頃、継続的におねしょしていた子どもほど尿意を早く感じ、将来おシッコが近い傾向があるようです。
実際、おしっこをする時間が5秒と言う人は小学3年生位までおねしょをしていたと言われています。そして親に叱られるのが嫌で、常にトイレに行きたくなくても「トイレに行っておこう」という気持ちになってしまうようです。
これは、過活動膀胱といい「もらしたら叱られる、早く行ってこう」と尿意を強くしてしまい、若い時には膀胱が伸びるはずなのに、結果的に伸びない膀胱や溜められない膀胱を作り上げてしまうのです。
そんなことから、若い時おねしょをしていたか否かで、伸びる膀胱と固い膀胱の人に分かれ、頻尿の人は心理的影響が大きかったという事かもしれません。
また、これは比較的女性にも多く、一度おシッコで失敗した経験があると、精神面からトイレへ行く頻度に対し神経過敏になってしまうこともあるようです。
女性の場合、加齢や産後の影響から骨盤底筋の緩み、少し尿がたまっただけでもトイレへ行きたくなってしまうこともあります。
頻尿の治し方とは?
頻尿の治し方は、尿意がきたら我慢することです。ただし、我慢しすぎはNGです。
尿意が来てから数分でいいので我慢する事が膀胱に「よりおシッコが溜まりやすくなります」。これを繰り返す事によって膀胱の伸び縮みの伸びの力が出てきます。
さらに、おシッコを我慢することによって膀胱の半分の位置で尿意を感じていた人でも、少しずつ尿意を感じるタイミングが遅くなるのです。
その結果、頻繁にトイレに行っていた人でもおしっこが我慢できるようになり、頻尿の症状が少なくなってきます。
(旭川医科大学 松本成史先生)
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このように、若いからといって必ずしも皆膀胱が大きい訳ではなく、固い膀胱で頻尿に悩まされている方も多いのです。
若い人こそ今から膀胱を柔らかくしておき、おシッコをより多く溜められるようにしておくのも1つの手段と考えられます。
また、小中学生までおねしょをしていた方は特に他の人より頻尿の症状が出ているかと思います。
理解を深めていただき頻尿にならないよう是非、試してみてはいかがでしょうか。