日本の苗字で一番種類が多く、その上わかりづらい代表的な苗字と言えば「わたなべ」さんという読み方で「渡辺」「渡部」「渡邊」・・・の苗字です。
しかしこの渡辺・渡部・渡邊・渡邉など同じ読み方をする「わたなべ」なのに、意外にもその発祥がこの3文字の1つからなんと58種類のわたなべが生まれていたという事実がわかりました。
そこで今回は、渡辺さんは「わたなべ」という読み方、渡部さんは「わたなべ・わたべ・わたぶ」と読み方も変わりますが皆さんが知らないその苗字の発祥や由来をまとめてみました。
確かに同じ「わたなべさん」でも芸能人を例に取り上げてみると、渡辺・渡部・渡邊と様々。渡辺謙・渡辺直美・渡部陽一・渡部絵美など、なべの部分が違う苗字を使っています。更に渡部の他に渡辺の旧字体で書く「渡邊」もいるのです。
わたなべという読み方で苗字は渡辺・渡部・渡邊の他に何種類ある?
渡辺・渡部・渡邊を混ぜてこの「わたなべ」という苗字「渡+○」は、全国ハローページを調査しただけでもなんと58種類あるのです。
皆さんが目にしている渡辺・渡部・渡邊さんの他にもこの苗字だけは、微妙に違う珍しく厄介な苗字と言っても過言ではないかもしれません。
「何でこんなにたくさん有るんだ!?」と嘆く方も多いと思います。
今ではこれだけの渡辺・渡部・渡邊・・・・が有りますが、元々はたった一つの読み方と漢字「わたなべ」という苗字から58種類もの苗字が出来てしまったのです。
最初に生まれたわたなべさんは渡辺?渡部?渡邊?渡邉?
わたなべという読み方で、元祖とも言われる苗字はなんと「渡部」です。
最初のわたなべ → 「渡部」
これは飛鳥時代には「部」を使った渡部さんが居たと言われており、実は最初に生まれた渡部さんたちはみんな同じ職業に就いていたことまで分かっているのです。
それは、現在の大阪府に摂津国(せっつのくに)があり、そこで人や物を船で運ぶ「船渡し」をしていた人達が名乗った苗字だったのです。
そもそも渡部の「部」という漢字は当時の職業を表す漢字であり、渡部(わたしのべ)という変わった読み方でもありました。
その読み方は次第に「わたしのべ~わたしなべ~・・・わたなべ」と徐々に言葉が変化していき、最終的に「渡部(わたなべ)」となったのです。
船渡し= 部(職業)
↓
「職業名 渡部(わたしのべ)」
↓
「苗 字 渡部(わたなべ)」
2番目に生まれたわたなべさんは渡辺?渡邉?
「部」と書く渡部さんの次に生まれたわたなべさんは、現在では最も多く全国の苗字ランキングで第6位になっている「辺」と書く「渡辺」(100万人以上)です。
- 1位・・・佐藤
- 2位・・・鈴木
- 3位・・・高橋
- 4位・・・田中
- 5位・・・伊藤
- 6位・・・渡辺
「渡辺」はどんな人が名乗った苗字!?
この渡辺さんは平安時代にある一人の武士が「辺」という字を使った苗字「渡辺」を名乗ったことから、現在100万人以上の渡辺さんに増えるようになったと言われています。
摂津国で船渡しをしていた苗字の元祖「渡部さん」が川の近くで集落を作って住んでいました。
その集落に行く時、よく口にしていた会話が「渡部が住んでいる辺りに用事があって」と集落の呼び名を「渡部の辺り」と呼び始めたのがきっかけ。
次第にその読み方を「渡部の辺り」から省略し、地名で「渡辺」と呼ぶようになりました。いわゆる「渡辺」は、元々は苗字ではなく「地名」だったのです。
その後平安時代になるとその地を治めていたある源氏一族の一人「源 綱(みなもととのつな)953~1025」がやってきて「我は姓を改める!」と宣言。
渡辺とう地名から「渡辺の綱」と名乗り始め最初の渡辺さんが誕生したと言われています。
「源 綱」→「渡辺 綱」
しかし京の国では鬼と呼ばれる盗賊が増え「渡辺 綱」は鬼退治を始めました。
そしてこの鬼退治伝説は京の都周辺にあっという間に広がり、この活躍から川の傍に住んでいた「渡部さんたち」は次々とカッコいい苗字にしたいと「渡部」から「渡辺」に変更する人達が続出したのです。
その後、鎌倉時代になると船渡しをしていた「渡辺さん」はその船を動かす技術が認められ、各地の権力者として雇われるようになり日本全国へと広がったのです。
「渡部」「渡辺」以外の苗字はどのようにして生まれた!?
実は、明治4年に「戸籍法」が制定され、翌年明治5年に全国民が戸籍を登録することになりました。
しかしこの役所で名前を申請する際、「渡に辺と書きます!」などと役人に苗字を口頭で伝えたため何と間違いが多発。
当時の役所は渡辺を旧字体で登録する所もあり、渡辺の「辺」の旧漢字がどういう字を書くのかわからない役人も多く「渡邊」の旧漢字をうる覚えで書いていたとも言われています。
そのせいで読み方は同じわたなべでも、間違った苗字で登録し始め「渡邊」の「邊」と言う旧漢字一文字が微妙に違うわたなべさんが沢山誕生してしまったという訳だったのです。
役所がこのように単純なミスを侵すことは今ではウソみたいな話ですが、
当時は戸籍謄本も手書きの時代。
全国の渡辺・渡部・渡邊さん以外の「わたなべさん」は、
自分の苗字は実は間違いだったのと嘆く方もいらっしゃると思います。
そんな「書き間違い」で
58種類の「わたなべさん」が存在している事に驚きを隠せませんね。